生菓子の雑学

金沢と餅・生菓子

金沢は藩政の頃より、菓子どころとして全国に知られていますが、菓子にまつわる風習も豊かで、人生と四季の折々に喜びや悲しみを重ねるごとに菓子をいただいてきました。行事にまつわる菓子といえば生菓子や餅であり、金沢に住む人にとって、餅・生菓子は生活に溶け込んだ存在と言えましょう。

現在金沢の生菓子店(金沢生菓子専門店会加盟)では、市民の暮らしの中で、昔からの伝統を受け継ぎつつ、人生や四季の節目ごとの菓子を製造しております。

五色生菓子

五色生菓子

金沢の祝い事に欠かせぬものが五色生菓子です。

五色生菓子は、加賀藩二代藩主前田利長公が、後に三代藩主となる利常公の嫁として徳川秀忠公の息女を迎えた時、藩の御用菓子屋吉蔵に命じて作らせたものです。吉蔵は特に容器にも吟味して五種の菓子器を以てお納められた処、大変喜ばれたそうです。

この五色生菓子は五種一組となっており、それぞれに小豆餡が入り、武家町人の隔てなく広く祝儀用として使われ現在に至っております。特に婚礼の折りにはなくてはならないお菓子です。

五色生菓子は日月山海里を形どり大自然の恩恵に感謝の意を表わしています。

  • … 太陽をかたどり、円形の餅に紅色は日の出
  • … 白い饅頭は月
  • … 黄色く米粒をつけてあるのは〝いがら餅〟ともいって山を象徴
  • … 菱形の餅は海面の波
  • … 蒸し羊羹は村里

ころころだんご

ころころだんご

出産が〝ころころ〟と安産であるように願いを込めて、ごく近しい人に配られるのが、ころころだんご(ころころ餅)です。九ヶ月目の戌の日に配るのが最良とされています。数は9・11・13の奇数とするのが習わしです。卵形の山高なお餅で、昔はその形で生まれてくるのが男の子か女の子かを占ったりしました。

氷室万頭

氷室万頭

金沢では毎年七月一日に氷室万頭を食べる風習があります。五代藩主綱紀公の頃、氷室に貯蔵した天然の氷雪を氷室の朔日に江戸の将軍に献上していました。それにちなんで作られたのが氷室万頭で、暑い夏を迎え、夏越しの体力を養い萬(よろず)の頭に出世するという縁起を祝い、無病息災を願って氷室の朔日(今の七月一日)に食する習わしは、今も市民に親しまれています。

ひし餅

ひし餅

女子は三月三日の桃の節句に雛人形を飾ってお祝いします。女の子が生まれると、紅・白・緑(蓬)のひし餅を嫁の実家より婚家先に贈る習わしがあります。ほかにひな菓子、ひなあられ、白酒、干鱈なども添えます。

かしわ餅・笹ちまき

かしわ餅・笹ちまき

五月五日の端午の節句は男児のお祝いで、鯉のぼりや鎧・兜を飾り、笹ちまき・まきだんご(小豆やきなこをつけた蓬餅)・かしわ餅などで子どもの無事な成長を祈ります。ちまきは災いから五体を守る事を願い、薬効のある笹で団子を巻いた保存食です。

初老の祝い

初老の祝い

人生の節目である男性の「四十二の厄」を金沢では「初老の祝い」ともいいます。心身共に節目となるこの年頃を大過なく過ごせるよう氏神に鏡餅(紅白二升鏡)・神酒・するめを供えお祓いを受けます。そして親戚・知己の方々に、鏡餅に酒やするめを添えて配ります。これは厄を分け担いでいただく意を込めるとともにこれを機会に一層の協力・援助をお願いする意味があります。この他に男五五(若冠)祝、女三十三祝があります。

還暦の祝い

六十一才の祝いで陰暦では干支が六十年で一周して元に復すが故に還暦の祝いと云う、当人の子ども達で親の還暦の祝いを行います。

近年は益々盛大になって来ました。赤々の鏡餅を近しい人に配ります。

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